本研究室 OB の宮本幸治 助教(広島大学放射光センター)
広島大学学長賞受賞
研究内容:2007年、物質内部は電気を通さない絶縁体でありながら、その表面は金属状態にある新奇絶縁体(トポロジカル絶縁体)が発見されました。
この特殊な絶縁体の表面電子は重さを持たず、かつ磁力の源となるスピンを揃え、超高速で運動する性質を持っているものと見られますが、その不思議な性質の詳細は未解明でした。
宮本らは、世界最高のエネルギー分解能を有するスピン角度分解光電子分光装置を用いて、トポロジカル絶縁体Bi2Te2Seの表面電子のエネルギー(運動)とスピンの整列度を世界に先駆けて詳細に観測しました。その結果、その表面電子はスピンを揃えて超高速で運動する能力が極端に高く、広いエネルギー範囲に渡ってその能力を維持していることが直接明らかになりました。
この成果は、これまで謎に包まれていたトポロジカル絶縁体における表面電子の性質解明を通して学術のフロンティア開拓を大きく前進させるものとして世界から注目を集め極めて高く評価されました。また、高速・大容量・低消費電力電子デバイス等に不可欠な省エネルギー・環境材料技術のキーテクノロジー創出に大きく貢献するものと期待されています。このことが認められ、今回、広島大学学長賞という名誉ある賞を受賞することになりました。