卒業・修了おめでとう!
−2005年3月−
理学研究科物理科学専攻・教授
放射光科学研究センター・センター長谷口雅樹
理学部・理学研究科を卒業・修了される皆さんに心からお祝い申し上げます。また、 ここに至るまで、皆さんを支えてこられたご家族の方々に敬意を表したいと思います。
理学部・理学研究科では、専門的研究を通して課題探求能力や問題解決能力を高め、基礎科学のフロンティアを開拓する研究者、高度の専門的知識と技能を身につけた技術者、リーダーとなって活躍する力量ある教育者を育成することを目標として教育研究活動に取り組んで来ました。皆さんには様々な進路があると思いますが、私たちのところで修得した力を充分に発揮して、明るい将来を自分の力できりひらいて行かれる事を強く希望致します。
本学の学生さんは、ある課題に意欲的に取り組み、これを半年なり1年なり継続したときの積分値で際立った能力を発揮するという、特筆すべき個性を持っています。私自身、これまでに、幾度となく体験しました。また、共同作業も得意です。瞬時値には派手さがあります。積分値には瞬時値ほどの派手さはありません。しかし、長い目で見て、積み上げが出来ることがどれほど尊いことか、議論するまでもないでしょう。社会は、とりわけ、この種の能力を必要としています。
一方、判断力や探求・解決能力、或いは専門性には、ある意味で限りがあります。これらを真に活かすには、おのずと人間的な関わり、或いは、人の心を察する感性が必要となります。これについては、大学での限られた期間というよりは、むしろ各自が長期にわたって自分自身で陶冶してゆくべきものでしょう。これだけはというものを一つ身につける、人がすすんでやらない事を率先しておこなう、 同じ時間と労力を費やすのなら人がやっていない事、人ができない事をやってみるなど、様々な事に取り組んでいる間に経験し身につけてゆく事と思います。
現在と同じ状況は永遠には続きません。どんな時にも、常に可能性を広げる事を視野に入れ、夢を持って歩いていって頂きたいと思います。皆さんのご健闘を心からお祈り致します。